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◆サービス残業撲滅
法
〜残業代の不払いに対する包囲網〜
法案(試案) ※このページの読了時間はおよそ8分です。
ここでは「サービス残業撲滅法」の試案を掲載しています。
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時間外労働の賃金不払いを撲滅するための法律(試案)
<目次>
前文
第一章 総則
第二章 国および関係各所の責務
第三章 使用者の責務等
第四章 国および関係各所による支援
第五章 労働基準監督署の権限
第六章 雑則
第七章 罰則
前文
日本国においては、労働基準法が制定され、労働者を保護する取り組みが行われている。ところが、時間外労働の賃金不払いは、重大な違反行為であるにもかかわらず、その防止は必ずしも十分に行われてこなかった。そのため、多くの被害者が存する。また、時間外労働の賃金不払いは、労働者の奴隷化にも等しいものであり、個人の尊厳を害する人権の侵害でもある。このような状況を改善するためには、あたらめて時間外労働の賃金不払いを防止するための施策を講ずることが必要である。このことは公正な競争を保つべき経済社会においても重要な意義を持つものである。ここに、時間外労働に対する賃金不払いの防止ひいては労働者の尊厳の保護を図るため、この法律を制定する。
第一章 総則
(定義)
第○条 この法律において「使用者」とは、事業主または事業の経営者その他その事業の労働者に関する事項について事業主のために行為するすべての者をいう。
2 この法律において「時間外労働」とは、労働者が1日の法定労働時間を超えて、使用者の指揮命令下に置かれていると評される状態をいう。なお、場所は問わない。また、実際の職務作業および本来の職務作業の有無は問わず、次の行為を含むものとする。
一 待機
二 教育を受ける
三 職務外の雑用
四 着用を義務づけられている制服の着替え
五 清掃
六 その他企業または使用者にとって利すると評される行為
3 前項の詳細については、厚生労働省令で定める。
(禁止)
第○条 何人も労働者に対し時間外労働の賃金不払いを犯してはならない。
2 時間外労働の賃金は他の何らかの事物で代替してはならない。
第二章 国および関係各所の責務
(国および厚生労働省の責務)
第○条 国および厚生労働省は、労働者が時間外労働の賃金不払いを被ることを防止するため、また、被った場合に早期に回収するため、関係省庁およびその他の関係機関や関係者の間の連携の強化、労働者の支援などのために必要な体制を整備しなければならない。
2 国および厚生労働省は、弁護士、社会保険労務士、その他職務上関係する者が時間外労働の賃金不払いの防止および回収に寄与することができるよう、必要な措置を講じなければならない。
3 国および厚生労働省は、時間外労働の賃金不払いの防止に資するため、労働者の人権、時間外労働の賃金不払いの卑劣さ、時間外労働の賃金不払いが犯罪であること、不払いに対する処罰、時間外労働に該当する行為、労働時間を記録する方法、時間外における従業員の職場滞在の管理方法などについて、必要な広報その他の啓発活動を行わなければならない。(3)
(労働基準監督署の責務)
第○条 労働基準監督署は時間外労働の賃金不払いに係る問題に対し優先的に取り組まなければならない。(6.1)
2 労働基準監督署は、不払い賃金の回収に対する支援を適切に行うことができるよう、署内に専門の部署を設置し、必要な人員を配置しなければならない。(6.2)
(労働基準監督官等の責務)
第○条 労働基準監督官および労働基準監督署の職員は労働者に対して誠実に対応し支援しなければならない。(6.3)
2 労働基準監督官は、労働者が時間外労働の賃金不払いの証拠になりえるものを確保している場合は、捜査しなければならない。(6.4)
第三章 使用者の責務等
(時間外労働時間の記録と保存)
第○条 使用者は、各従業員の時間外労働時間を記録し、かつ、これを保存しなければならない。(4.6)
(時間外労働の賃金の記録と保存)
第○条 使用者は、各従業員の時間外労働の賃金を記録し、かつ、これを保存しなければならない。(4.7)
(支払いの事実の記録と保存)
第○条 使用者は、各従業員の時間外労働の賃金の支払いの事実について記録し、かつ、これを保存しなければならない。(4.8)
(虚偽記録の禁止)
第○条 使用者は、第○条(時間外労働時間の記録と保存)、第○条(時間外労働の賃金の記録と保存)、および、第○条(支払いの事実の記録と保存)の記録に関して、虚偽を記してはならない。(4.6/4.7/4.8)
(立証責任)
第○条 使用者は、不払い事案の労働審判および裁判、労働基準監督署による捜査において、不払いの事実を否定する場合は、時間外労働の事実がないこと、または、支払ったことの事実を証明しなければならない。(4.9)
(従業員の職場滞在の管理)
第○条 使用者は時間外における従業員の職場滞在を原則として禁止しなければならない。(4.10)
第四章 国および関係各所による支援
(費用支援)
第○条 国は、労働者が不払いの時間外労働賃金を回収するために、弁護士を利用することにかかる諸費用を支弁しなければならない。
2 前項の支弁する内容については厚生労働省令で定める。
3 国は、第1項および第2項に従って支弁した全額を、後日、使用者から罰金と合わせて徴収するものとする。
(証拠の確保の支援)
第○条 労働基準監督署は、時間外労働の賃金不払いの証拠を確保するために、労働者に対し、必要な支援および助言を行わなければならない。(4.1)
2 労働基準監督署は、前項の規定に基づき、次に掲げる支援を行わなければならない。
一 GPSを利用する証拠の取得に必要なものを無料で貸与する。(4.2/4.3)
二 GPSにより取得した情報を記録し保管する。(4.2/4.4)
三 その他の証拠を取得するために有用なものを無料で貸与し、また、それにより取得した情報を記録し保管する。(4.1)
第五章 労働基準監督署の権限
(捜査)
第○条 労働基準監督署は、時間外労働の賃金不払いに関して、労働者その他の者からの通報なしに、随意に捜査することができる。(2.2)
第六章 雑則
(労働基準監督署とその他の関係各所の守秘義務)
第○条 労働基準監督署ならびにその他の関係各所は、使用者が告発者を特定できないよう、告発者に関する情報を秘匿しなければならない。(2.1)
2 また、捜査においては、できるだけ告発者を推測されないよう、行動することに努めなければならない。(2.3)
(労働者の守秘義務)
第○条 告発者などの被害者が使用者により報復的な制裁を受けないようにするため、労働者は、自身の勤務先における時間外労働の賃金不払いに関する捜査に協力したことを、使用者が逮捕されるまでは、何人に対しても黙秘することに努めなければならない。(2.4)
(報復的制裁の禁止)
第○条 使用者および管理職者等、時間外労働の賃金不払いに関与した者は、被害者に対して、人事権、指揮命令権、優越的立場を乱用し、報復的な制裁を行ってはならない。(2.5)
(証拠取得行為の優越性)
第○条 労働者は時間外労働の賃金不払いの証拠を取得するための行為を行うことができる。これはたとえ社内規定等の職場の規則に違反するとしても行うことができる。(4.5)
2 前項の「時間外労働の賃金不払いの証拠を取得するための行為」として許容される行為については厚生労働省令で定めるものとする。
3 使用者は、第1項の行為が社内規定に違反していることを理由に、労働者を処罰してはならない。(4.5)
(通報の促進)
第○条 給与計算の担当者ならびに管理職者等が従業員の時間外労働の賃金不払いの事実について労働基準監督署へ通報を行った場合は、たとえ不払いに加担していたとしても、これに関しては処罰されないものとする。(7.2)
(偽装および隠蔽行為の禁止等)
第○条 使用者は、次に掲げる行為を行ってはならない。また、行った場合は、時間外労働の賃金不払いの有力な間接証拠であると見なすものとする。(5.1/5.2)
一 労働者に退勤前にタイムカードで退勤処理をさせる。
二 裁量労働制を適用できない職種に適用する。
三 裁量労働制を恣意的な解釈で適用する。
四 時間外労働の賃金を支払わないという内容で雇用契約を結ぶ。
五 管理職に当たらない職務の者を管理職として扱う。
六 時間外労働時間を計算する単位に関して社内規則をつくり、これに定めた単位に満たない時間を切り捨てて計上しない。
七 時間外労働を「残業」とは言わずに、他のことばで表現する。もしくは、時間外において、強制的か自主的かを問わず、残業以外の何らかの活動を行わせる。
八 雑用や明日の準備を時間外に行わせる。
(時効)
第○条 時間外労働の賃金不払いの時効はないものとする。(8)
第七章 罰則
(時間外労働の賃金不払いに対する処罰)
第○条 第○条(禁止)に違反した者は6箇月以上5年以下の懲役および30万円以上1000万円以下の罰金に処する。また、氏名および顔写真を公表し、これを不払い金、遅延損害金、遅延利息、付加金、罰金、これらすべての支払いが完了するまで公開するものとする。(1.1)
2 なお、前項の罰金は、賃金不払いに加担していた給与計算の担当者や管理職者に対しても科すものとする。(7.1)
(報復的な制裁に対する処罰)
第○条 第○条(報復的制裁の禁止)に違反した者は6箇月以上5年以下の懲役および30万円以上1000万円以下の罰金に処する。(2.5)
(証拠取得行為を社内規定で処罰することに対する処罰)
第○条 第○条(証拠取得行為の優越性)第3項に違反した者は、100万円以上500万円以下の罰金に処する。(4.5)