このサイトは「整理解雇抑制法」の実現をめざす社会運動のサイトです。
◆整理解雇抑制法
〜整理解雇の乱発を制御する装置〜
補足 ※このページの読了時間はおよそ6分です。
このページでは次のことを補足しています。
●提案の立場
●被解雇者が非正規従業員である場合
●親会社や持株会社に対する対策
●個人の大株主に対する対策
●会社の役員に新しく就任した場合
●役員が親会社や子会社、関連会社の役員を兼務している場合
●責任転嫁に対する対策
ここでは、おおよその方策を提示しています。細かな点については、後に法律の試案を公表するさいに、もっと整理したかたちで説明する予定です。
提案の立場
この提案は、規制(制限)策ではありません。あくまで抑制策です。つまり、整理解雇自体を制限するためのものではなく、整理解雇の乱用と社会的な乱発を抑制するためのものです。
また、強すぎる規制の否定を前提として作成したものですが、規制そのものを否定しているわけではありません。将来の規制緩和を見据えて、最低限の規制を前提として、これを補助するよう作成したものです
被解雇者が非正規従業員である場合
現在の解雇規制は、非正規従業員(派遣社員、期間従業員、契約社員、アルバイト、パートタイマー)に対して差別的です。そのため、非正規従業員は、業績不振時に、雇用の調整弁になっています。
非正規従業員に対する整理解雇はどう扱うべきでしょうか?
契約形態がどうあれ、やっていることは整理解雇です。
したがって、「整理解雇抑制法」では、原則、非正規従業員に対する整理解雇も正社員に対する整理解雇と同様に扱います。つまり、非正規従業員に対する整理解雇においても、被解雇者への補償金の支払い、役員ボーナスの停止などの規定は適用されます。
ただし、労働者自らが短期契約を望んでいる場合(寒冷地農業者の冬期出かせぎなど)もありますので、この場合は適用除外とします。
親会社や持株会社に対する対策
親会社や持株会社は子会社や関連会社を監督する立場にあります。そして、親会社や持株会社が子会社や関連会社に圧力をかけて整理解雇を行わせるということがありえます。
このような整理解雇を抑制するには、親会社や持株会社に対する対策も必要になります。つまり、親会社や持株会社が整理解雇をやりたがらないように、親会社や持株会社にとっての回避誘因を法律によって設ける必要があります。
以下は回避誘因となる規定です。
●整理解雇を行った会社に親会社や持株会社がある場合は、被解雇者への補償金の支払いは、親会社や持株会社が行う。
●親会社や持株会社の役員のボーナスを停止する。(停止期間は被解雇者への補償金の支払いが完了した年度までとします。)
●親会社や持株会社の役員の給与を減額する。(減額期間は被解雇者への補償金の支払いが完了した年度までとします。)
●親会社や持株会社の役員の昇給は停止する。(停止期間は被解雇者への補償金の支払いが完了した年度までとします。)
●整理解雇実施前2年間のボーナスと給与の増額は取り消しとする。(この規定は事前に増額することを阻止するために設けます。)
個人の大株主に対する対策
整理解雇を行った会社において、また、その親会社や関連会社においても役員ではない個人の大株主が役員に圧力をかけて整理解雇を行わせるということもありえます。
このような整理解雇を抑制するためには個人の大株主に対する対策が必要になります。
すでに「配当の停止」ということを挙げましたが、これだけでは抑止力は弱く、個人の大株主による圧力を抑制させることはできません。
したがって、個人の大株主にとっての回避誘因をもっと増やす必要があります。以下は回避誘因となる規定です。
整理解雇を行った会社に親会社や持株会社が存在しない場合、個人の大株主は、被解雇者への補償金の支払いを半分負担する。
※負担するのは議決権のある株式に対する持株比率が20%以上の保有者とします。
※各負担者の負担の割合は、負担者全員の総保有数を100として、各負担者の保有率を算出して、その割合に応じて分担します。
会社の役員に新しく就任した場合
整理解雇の後に、社内の従業員という立場から、また、会社の外部から、新しく役員に就任した場合はどう扱ったらよいでしょうか?
これらの場合は役員報酬についての責任はとらなくてよいことにします。つまり、新しく就任した役員は、給与を減額されず、ボーナスを停止されず、昇給も停止されません。
これは、経営責任のない者(従業員の地位から新しく就任する者)に不当に責任を押し付けないためと、外部の優秀な人材を就任させやすくするためです。
ただし、親会社の役員が、整理解雇を行った子会社の役員に新しく就任した場合は、役員報酬についての責任は免除されません。つまり、給与を減額され、ボーナスは停止され、昇給も停止されます。(逆に、子会社や関連会社の役員が整理解雇を行った親会社の役員に新しく就任した場合は役員報酬についての責任は免除されます。)
また、役員の3親等以内の親族が従業員という地位から新しく役員に就任した場合は、役員報酬についての責任を負うことになります。この場合は、給与は従業員時代の金額を基準として減額され、ボーナスと昇給は停止されます。
役員が親会社や子会社、関連会社の役員を兼務している場合
整理解雇を行った会社の役員が親会社や子会社、関連会社の役員を兼務している場合は、どう扱ったらよいでしょうか? 以下のようにします。
【親会社の役員を兼務している場合】
●ボーナスは、親会社と整理解雇を行った会社、そして、その他の関連会社のすべてにおいて停止する。
●給与は、まず親会社の分を規定(上記「親会社や持株会社に対する対策」を参照。)の通りに減額した上で、親会社と整理解雇を行った会社、そして、その他の関連会社から受け取る総額が、親会社分の額を超えてはならないこととする。
●給与の昇給は、親会社と整理解雇を行った会社、そして、その他の関連会社のすべてにおいて停止する。
●整理解雇実施前2年間の給与の増額は取り消しとする。(この規定は事前に増額することを阻止するために設けます。)
【子会社、関連会社の役員を兼務している場合】
●子会社分と関連会社分のボーナスは停止しなくてよい。また、給与も減額しなくてよい。
●ただし、子会社と関連会社におけるボーナスと給与の増額は、一定期間停止する。この期間は親会社が被解雇者への補償金支払いが完了するまで、および、親会社が純利益を出すまでとする。(この規定は事後において減額分を狡猾に回収することを阻止するために設けます。)
●整理解雇実施前2年間における子会社と関連会社のボーナスと給与の増額は取り消しとする。(この規定は事前に増額することを阻止するために設けます。)
責任転嫁に対する対策
業績不振の責任がある役員が、退任後、相談役や顧問という権力的な立場につき、院政を行い、後任者に整理解雇を行わせて、自分は役員報酬についての責任を免れ、高額な報酬を確保するという卑怯なやり方をするおそれがあります。
これに対しては次のような規定を設けて対処します。
●整理解雇を行った場合は、すべての相談役と顧問(名称のいかんにかかわらずそれらに相当する役職)を契約解除とし、以降それらの役職を設けることはできない。
●相談役や顧問は以後永久にその会社で役職を得ることはできない。
●相談役や顧問は子会社や関連会社への役職に就任することもできない。
●相談役や顧問に対する退職金等の支払いは禁止する。