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◆賃貸住宅設備
修繕法
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法案(試案) ※このページの読了時間はおよそ12分です。
以下は、「賃貸住宅設備修繕法」の試案です。
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【凡例】
◆条文の題を青色で表示しています。
◆条文のあとの( )は条文についての説明です。茶色で表示しています。
◆各条文の番号が「○」になっているのは、新たに条文を追加した場合に、その後に続く他の条文の番号をいちいち変更する手間をはぶくためです。お気になさらずにご覧ください。
入居中の賃貸住宅における設備修繕に関する法律(試案)
(略称:賃貸住宅設備修繕法)
<目次>
第一章 総則
第二章 設備修繕
第三章 雑則
第四章 罰則
第一章 総則
(目的)
第○条 この法律は、入居中の賃貸住宅における設備修繕の費用負担および完了期限等について、貸主の責任を定め、貸主が借主に対して、費用を不当に請求すること、および、貸主が修繕を怠ることを防止し、もって、借主の当然の利益、健康、生活の安定に資することを目的とする。
(定義)
第○条 この法律において「設備」とは、賃貸住宅において、貸主が借主の利用のために提供するあらゆる機器類、物品および建物の構造物、すなわち、貸主が提供する賃貸住宅の構成物のすべてをいう。
2 前項の具体的な例についてはこの法律に関する事務を所管する行政機関の長が告示するものとする。
第○条 この法律において「修繕」とは、修繕の他、交換も含むものとする。
第二章 設備修繕
(修繕の責任)
第○条 貸主は、借主から設備修繕を要請された場合は、遅滞なく修繕を行わなければならない。
第○条 貸主より設備修繕に関する対応業務(すなわち、借主からの連絡の受付、故障や破損した備品の確認、応急措置、修理業者への依頼、交換品の購入などの業務)を委託されている者(管理会社)は、借主から設備修繕の要請の連絡を受けた場合は、遅滞なくその職務を遂行しなければならない。
(費用負担)
第○条 貸主は設備修繕の費用を負担しなければならない。ただし、借主の故意または過失によってその修繕が必要になった場合は、この限りではない。
(請求の禁止)
第○条 貸主は、借主に対して、設備修繕の費用を請求してはならない。ただし、借主の故意または過失によってその修繕が必要になった場合は、この限りではない。
(修繕の完了期限)
第○条 貸主は、この法律に基づいて定める完了期限までに、修繕を完了させなければならない。
2 前項の完了期限についてはこの法律に関する事務を所管する行政機関の長が告示するものとする。(設備によって修繕にかかる所要日数が違いますので、それぞれの場合を考慮して期限を定めます。また、借主に責任がある場合とない場合、別々に期限を定めます。借主に責任がある場合は多少期限を長くします。ただし、放置することで、隣室など他の居住者の迷惑になる場合は借主に責任がない場合と同様にします。)
(交換)
第○条 貸主は、この法律に基づいて、設備の交換を行う場合は、次の各号に掲げるよう行わなければならない。
一 交換する設備が販売されている場合は、新品の同じものと交換する。
二 すでに販売を終了している場合は、著しく性能が劣らず、使用と管理において、借主の経済的負担と労力が大きくならないものと交換する。(性能の若干の低下は、利便性を損なうわけではない程度であるならば、許容することにします。)
(借主による修繕)
第○条 借主は、修繕を要請したにもかかわらず、次の各号のいずれかに該当する場合は、任意に修繕を行うことができる。
一 貸主が修繕の完了日を通知せず、この法律で定める完了期限を経過した場合
二 貸主が修繕の完了日を通知するも、修繕の作業が開始されずに、この法律で定める完了期限を経過した場合
三 貸主が修繕の完了日を通知するも、その日がこの法律で定める完了期限を超過しており、かつ、その日に修繕の作業が開始されなかった場合
四 貸主がこの法律で定める完了期限を7日間以上超過した日を修繕の完了日として通知した場合
2 前項に基づいて交換を行う場合は、次の各号に掲げるよう行わなければならない。
一 貸主が修繕の完了日を通知している場合は、借主は自分で修繕を行う旨を事前に貸主または管理会社へ通知する。
二 交換する設備が販売されている場合は同じものと交換する。
三 すでに販売を終了している場合は、性能や価格が類似するものと交換する。
四 類似するものがない場合は、不必要な性能等によって価格が高価であるものではないものと交換する。(たとえば、エアコンを交換するのに、6畳ほどのワンルームの部屋であるにもかかわらず、12畳用のものと交換したり、便器を交換するのに、全体をスワロフスキーであしらったものに変えたりすることはできないということです。)
3 第一項の修繕に要した費用は貸主の負担とする。
4 借主は、貸主または管理会社に事前に通知するならば、前項の費用の精算を任意に賃料と相殺することで行うことができる。
第三章 雑則
(遅延金)
第○条 貸主は、第○条(修繕の完了期限)第2項に基づいて定める期限までに修繕を完了できなかった場合は、借主に対して遅延金を支払わなければならない。
2 前項の遅延金の支払いについては、借主の承諾を得た場合は、賃料を減額するという方法をとることができる。
3 借主は、貸主または管理会社に事前に通知するならば、引き続き居住する上で支払う予定の賃料から遅延金分の金額を任意に差し引くことができるものとする。
4 前1項の遅延金の金額についてはこの法律に関する事務を所管する行政機関の長が告示するものとする。(仮案:設備1件につき、完了期限日より遅延日数1日ごとに3000円、つまり、遅延日数6日で18000円、遅延日数7日以上は、一律5万円。)
5 前1項の遅延金の支払期限は、次の各号に従うものとする。
一 借主が引き続き居住を希望する場合は、完了期限日より14日以内とする。ただし、遅延金を賃料から差し引く取り決めをした場合は、この限りではない。
二 借主が退去を希望する場合は、借主の退去日より7日以内とする。
(解約予告の期限についての免責)
第○条 借主は、次の各号のいずれかに該当する場合は、賃貸契約において定められている解約予告の期限については免責されて退去することができる。ただし、予告までも免責されるわけではないものとする。(ようするに、解約する場合は、その予告はしなければなりませんが、1ヶ月以上前にその旨を通知しなければならないというような条項は無効となって、たとえば退去日の前日に予告してもよいということです。)
一 完了期限を経過しているにもかかわらず、借主に対して修繕の日取りを通知しなかった場合
二 完了期限より7日を経過しても、修繕が完了しなかった場合
三 借主に対して、修繕の日取りを通知してはいるが、その日取りが完了期限を超えた日付であり、かつ、その日に修繕の作業が開始されなかった場合
四 修繕の日取りを完了期限より7日を超えた日付にした場合
(退去費用等の負担)
第○条 貸主は、この法律に定める自身の責任の不履行を事由に、借主が退去する場合は、借主に対して、次の各号に掲げるものの合計額を支払わなければならない。
一 入居時の敷金
二 入居時の礼金
三 借主が直近に支払った保険料
四 借主が直近に支払った保証人会社利用料
五 この法律で定める遅延金
六 引越料金の実費(業者に依頼した場合のみで、荷物の運送料、荷づくり荷解き代、梱包材代金、借主の所有する設備品の脱着料、保険料、消費税の合計額。)
七 引越先までの交通費
八 新規契約の仲介業者所在地までの交通費×3(物件紹介時の往復分と契約日分)
九 引越先での日割賃料
十 新規契約時の諸費用(敷金、礼金、保証人会社利用料、保険料、仲介手数料等、契約時の支払いの実費のうち前家賃を除く金額。)
十一 慰謝料20万円
十二 退去日が初回契約期間内である場合は、入居時に借主が支払った仲介手数料
十三 退去日が2回目以降の契約期間内である場合は、契約更新時に借主が支払った更新料および更新手数料
2 前項の金額の支払い期限は、借主の退去日より7日以内とする。
(応急措置)
第○条 貸主は、修繕の完了に時間を要するために、借主の生活に著しい不便や健康被害が生じるおそれがある場合は、応急措置として、代替設備を無料で提供しなければならない。(たとえば、エアコンが壊れた場合に、冷風機や電気暖房機を一時的に提供するということです。なお、実際に提供するのは管理会社でもかまいません。)
2 前項の応急措置の方法についてはこの法律に関する事務を所管する行政機関の長が告示するものとする。(この告示では応急措置の期限も定めます。)
(修繕を事由とする賃料等の値上げの禁止)
第○条 貸主は、修繕を行ったことを事由として、賃料等を値上げしてはならない。(賃料等とは管理費や共益費を含みます。)
(手配料等の請求の禁止)
第○条 貸主は、借主に対し、修繕の手配料等を請求してはならない。
(違反契約の無効)
第○条 住宅の賃貸契約において、この法律に反する契約事項は無効とする。
(管理会社の教示義務)
第○条 管理会社は、貸主がこの法律に反しようとするときは、貸主に対して、この法律によって処罰を受けることを教示しなければならない。
(行政機関の窓口の設置)
第○条 この法律に関する事務を所管する行政機関は、借主からの通報および相談を受け付ける窓口を設けなければならない。
(この法律に基づく告示における行政機関の配慮)
第○条 この法律に関する事務を所管する行政機関は、この法律に基づく告示を行うさいには、借主が低所得者であることを想定し、借主の生活の安定、生活の利便性および健康被害に十分に配慮するよう努めなければならない。
(遅延金の設定)
第○条 この法律に関する事務を所管する行政機関は、第○条(遅延金)第3項の金額を定めるさいは、貸主が責務を果たすことを十分に促すことができるよう定めなければならない。
(国の仲立ち)
第○条 国は、貸主が第○条(請求の禁止)の規定に反し、借主が貸主による不当な請求に応じてしまった場合には、借主が支払った額を罰則第A条に基づいて徴収する罰金額に上乗せして貸主より徴収し、借主への返還を仲立ちすることができる。
第○条 国は、罰則第B条に基づき貸主より罰金を徴収した場合は、その中から借主が本来受け取ることができる遅延金分の額を借主に給付するものとする。
第○条 国は、罰則第C条に基づき貸主より罰金を徴収した場合は、そのうち半分の金額を慰謝料として借主に給付するものとする。
第○条 国は、貸主が第○条(借主による修繕)第3項の規定に反し、借主が立て替えた費用を支払わなかった場合には、借主が支払った額を罰則第D条に基づいて徴収する罰金額に上乗せして貸主より徴収し、借主への支払いを仲立ちすることができる。
第○条 国は、貸主が第○条(退去費用等の負担)の規定に反した場合には、借主が第○条(退去費用等の負担)に基づいて受け取ることができる金額を罰則第E条に基づいて徴収する罰金額に上乗せして貸主より徴収し、借主への支払いを仲立ちすることができる。
第○条 国は、罰則第F条に基づき貸主より罰金を徴収した場合は、そのうち半分の金額を慰謝料として借主に給付するものとする。
第○条 国は、貸主が第○条(修繕を事由とする賃料の値上げの禁止)の規定に反し、借主が貸主による不当な請求に応じてしまった場合には、借主が支払った額を罰則第G条に基づいて徴収する罰金額に上乗せして貸主より徴収し、借主への返還を仲立ちすることができる。
第○条 国は、貸主が第○条(手配料等の請求の禁止)の規定に反し、借主が貸主による不当な請求に応じてしまった場合には、借主が支払った額を罰則第H条に基づいて徴収する罰金額に上乗せして貸主より徴収し、借主への返還を仲立ちすることができる。
第○条 この法律の罰則が適用される事態が生じた場合で、事態の責任が貸主ではなく、管理会社にある場合は、(国の仲立ち)第○条〜第○条における「貸主」を「管理会社」と読み替えるものとする。
第四章 罰則
第○条 次の各号のいずれかに該当する場合は、貸主を50万円以下の罰金に処する。
一 完了期限を経過しているにもかかわらず、借主に対して修繕の日取りを通知しなかった場合
二 完了期限より7日を経過しても、修繕が完了しなかった場合
三 借主に対して、修繕の日取りを通知してはいるが、その日取りが完了期限を超えた日付であり、かつ、その日に修繕の作業が開始されなかった場合
四 修繕の日取りを完了期限より7日を超えた日付にした場合
第A条 第○条(請求の禁止)の規定に反して、借主に故意や過失がないにもかかわらず、借主に対して修繕の費用を請求した者は、20万円以下の罰金に処する。
第B条 第○条(遅延金)の規定に反して、遅延金をその支払期限までに支払わなかった者は、20万円以下の罰金に処する。
第C条 第○条(交換)の規定に反して、交換を行った者は、20万円以下の罰金に処する。
第D条 借主が修繕を行った場合において、第○条(借主による修繕)第3項の規定に反して、借主が立て替えた費用を支払わなかった者は、20万円以下の罰金に処する。
第E条 借主が修繕の不履行を事由に退去する場合において、第○条(退去費用等の負担)に規定する金額の全額を第○条(退去費用等の負担)第2項に規定する支払い期限までに支払わなかった者は、20万円以下の罰金に処する。
第F条 第○条(応急措置)の規定に反して、応急措置を行わなかった者は、20万円以下の罰金に処する。
第G条 第○条(修繕を事由とする賃料等の値上げの禁止)の規定に反して、修繕を事由として賃料等を値上げした者は、20万円以下の罰金に処する。
第H条 第○条(手配料等の請求の禁止)の規定に反して、修繕の手配料等を請求した者は、20万円以下の罰金に処する。
第○条 この法律の罰則が適用される事態が生じた場合で、事態の責任が貸主ではなく、管理会社にある場合は、管理会社に対して、この法律の罰則を適用するものとする。